本当にそのセラミックで良いですか?!
せっかく高い費用を支払い、期待して入れたセラミックが短期間でだめになる本当の理由をご存知でしたか?!
3年しか持たなかったAさんのセラミック。赤丸の箇所が割れています
Aさんは近くの焼肉屋で家族と楽しく食事をとっていたところ突然、ガリ!!と硬いものを噛んだいやーな感触。小石でもご飯の中に入っていたか!とおそるおそる出してみると、白い塊。うっそー!歯が欠けてしまったー?!とよくよく確認してみると、白い塊は3年前に入れたセラミックでした。
セラミックはやはりわれやすいのでしょうか?「以前歯医者で治療を受けた時、奥歯を白いセラミックにしたいと言ったら、割れるからやめたほうがいいと言われ18金を勧められた。」という経験を持つ方も多くいます。
確かに10年前まではその意見は正しいものでした。奥歯のセラミックに関して言えば、欠けたり割れることが多かったのは事実です。しかし、現在は二ケイ酸リチウムガラスという以前のセラミックの5倍以上の強度をもつ歯科用セラミックが開発され認可されました。強いだけでなく透明感もあり審美的にも優れたセラミック。まさに歯科界のイノベーションと呼ばれています。
こちらは8年前に入れたBさんの前歯のセラミック。歯とセラミックの縁に隙間があり、その隙間に汚れが入り込み細菌が繁殖、歯ぐきを痩せさせてしまい、歯根が露出。審美的に問題が生じました
マイクロスコープで正しく形成した歯にかぶせた前歯のセラミック。歯とセラミックの適合が極限まで高められ、見た目の良さはもちろん、歯ぐきの健康が保たれています(使用したセラミックスは前出の「二ケイ酸リチウムガラス」)。
セラミックが割れてしまった理由は材質ではなく削り方
3年前に入れたということは、たぶんこのセラミックのはず。ではなぜ割れてしまったのでしょうか?
その理由はセラミック自体ではありませんでした。セラミックの材質が良くなっても、セラミックをくっつける側、つまり歯をセラミックが割れずらい形に削られてなかったとしたらどうでしょうか。
実は銀歯を入れる場合の歯の削り方と、セラミックを入れる場合の削り方はまったく異なるのです。
平成27年、マンションの建物を支える杭に関する問題で立派なマンションが傾き立て直さざる得なくなった問題がご記憶にあると思います。どんなに上物が立派でもそれを支えている基礎がしっかりとしていなければ、やはり崩れるのです。
セラミックを入れる場合の削り方は独特で繊細な形態。これを削るのに実は肉眼では不可能です。そのためにマイクロスコープで歯を8倍大以上に拡大した明瞭な視野で精密に削ることがどうしても必要になます。
「うちにはマイクロスコープを設置していないのでオールセラミックはやりません。」という歯医者さんがいらっしゃいましたが、患者様思いの懸命な先生だと思います。
マイクロスデンティストによる精密な形成
SEDで使用するマイクロスコープは最大20倍まで拡大可能。
削り方に加えて、接着の仕方も重要
さらにもうひとつ重要なことがあります。何だと思いますか?
適切なセラミック形態に削り、最適なセラミックが出来上がった。最後は歯にセラミックをセメントでくっつけるわけです。くっつけ方も割れないセラミックに仕上げるためにとても、とても重要な最後の工程になります。
ここをきちんとしないとすべてが台無しになります。私たちのイメージは歯とセラミックを一体化させること。一体化させることでセラミックの強度が最大限に発揮されます。
末永くセラミックを使用するための3条件
まとめです。長持ちするセラミックの条件は次の3つです。
1.マイクロスコープで8倍以上に拡大した視野で適切な形態に歯を削る技術
2.適切なセラミックを選ぶ(前歯なのか、小臼歯なのか、大臼歯なのか)
3.セラミックに最適な最新の接着技法を用いる(歯とセラミックを一体化)
3つの条件を忠実に守って作り直したAさんのセラミック。Aさんの歯と完全に一体化し、末永く使えることでしょう。